○●○ サファイア***9月の誕生石 ○●○
   
   
(メールマガジン『月のしずく』2000.09.19号 記載)
 
         
 
 




◆   9  月の誕生石、サファイア(青玉)

その響きは、サヤサヤと梢を渡る風のような、
うっとりするほど爽やかな音。

その宝石性そのままに、
深く、ちょっとアンニュイで思慮深い。

こんなにも、色と名前のイメージの合う石が
他にあるでしょうか?

その語源は、
ギリシャ語で「青」を意味する「サファイエス」から
来たとされています。

幼い頃に読んだ、
オスカー・ワイルドの童話『幸福の王子』、
彼の瞳もサファイアでした。
残酷なまでに美しく、悲しくて、
でも優しく崇高な魂を持った王子とつばめのお話。

だからでしょうか?
ちょっとした諦めにも似た、静かな深さを感じるのは。

 
 
和 名>
青玉
硬 度>
9(モース硬度)
屈折率>
屈折率>1.77
比 重>
4.0
主産地>

ミャンマー、スリランカ、タイ、
インド、タンザニア、
オーストラリア

色 >
ピンク、
ピンクを帯びたオレンジ、
黄、黄金色、緑、紫、
褐色、無色
宝石ことば>
誠実、慈愛、徳望
   
       
 
 


         * * *

古来より、サファイア(サファイア)は
聖なる石、最も神に近い石」と言われてきました。

ローマ法王や大司教たちは、
こぞって、この石のリングを
人差し指にはめたそうです。

その石は、きっと、
とても大きなものだったのではないでしょうか。
彼らの権威と聖性、神秘性の象徴として、
ひときわ輝いたことでしょう。

多くの王様たちも、この石を好んだとか。

サファイアは、
王冠に最も多く使われた石なのですって。

ちょっと意外なようであり、
なるほどとも思わせられたり。

「王冠を賭けた恋」で有名な、ウィンザー公夫人も、
ことのほか、サファイアを愛されたそうです。

彼女が公爵から送られた、
カルティエのデザインによる豹のブローチの
見事さといったら。。。!

152.35カラットと、とても大きなカボッション・カットの
サファイアの玉に乗った、
ダイヤモンドとサファイアを全身にちりばめた、
豹のブローチ。

写真でさえも、その凄さは伺えます。
いつか実物を見れたらとて素敵ですね。

         * * *

  極  上のサファイアの色
それは「コーン・フラワー・ブリュー」です。
矢車菊の青」という意味をもちます。

矢車菊」とは、
キク科の秋まき一年草のこと。
通称は、「ヤグルマソウ」。
こちらの名前の方が有名かもしれません。

(※ 「矢車草」とは異なります。
こちらは深山に生える、ユキノシタ科の多年草です。
よくそう書かれている宝石紹介本がありますが、
これは誤り
なのです)

矢車菊の青い花(他に白やピンク色もあるのです)は
あらゆる青い花の中で最も完全な青
といわれています。

薄い紫をかすかに含んだ、
とても繊細な青い花。

その花に例えられる、
最上級のサファイアは、実際の花の色よりも深く、
かすかに紫掛かった、こくのある濃い青。
その「てり」ある質感はまるでベルベットのよう・・・。
すいこまれそうなジュエルです。

この色を心において、
サファイアを選ぶ基準にすると、
良質のものが選べることでしょう。

けれど、あまりに完璧にそれにこだわりすぎると、
気に入ったものに、出会う事ができないかもしれません。
もし見付かったとしても、
とても手の出るお値段ではないでしょう。

そうなのです。
最近は、
良質の「コーン・フラワー・ブリュー」の
サファイア
は、
あまり産出されないのです。

もし出会える素敵な機会がありましたら、
購入できなくとも、
ぜひじっくりと拝見して、目の保養をしてくださいね。
出会えただけで、とても幸運なことなのですから。

         * * *

  カ  ラーストーンの宿命ともいえる
クラックですが、
サファイアもご多聞にもれません。

全く傷も内包物もない、サファイアは、
ごく稀なようです。

けれど、クラックは天然の証。
その石の個性ともいえるものです。

とはいっても、あまりに傷が入っていると、
色味を損ねてしまいます。

チェックポイントのひとつとして、
双方を心に置いておいてください。

あくまで、色石の最大の魅力は、
その美しい色なのです。





 


         * * *

  産  地は、ミャンマー、タイ、スリランカ、インド(カシミール地方)、オーストラリアが代表的ですが、
最近では、ケニアやタンザニアでも採れるようです。

なかでも、
インド
カシミール地方産のものが最上級とされ、
まさに「コーン・フラワー・ブリュー」といえる
典型的な美しい青色をしていたそうです。

けれど残念ながら、
最近はほとんど産出されないのだとか。

ミャンマー産サファイア濃いブルーが特徴で、
石に透明感があれば、
こちらも最上級となる可能性があるそうです。

しかし、インド同様、
最近はほとんど採れないようです。

それでは、
市場に多く出まわっているサファイアはどこのなの?
と、疑問に思われた方も多いでしょう。

それらの多くは、スリランカ産です。

スリランカ産サファイアは、
透明度が高く、美しい輝きを持っています。
けれど、色は全体的にやや薄めです。
そして、色の付き方が均一でないものが多いのです。

ご購入の際には、この点によく注意してください。
極端な場合、四隅だけが青く、
中央は別の色なんてことも・・・。

うっかり見過ごすと、
再研磨して、四隅を削るような場合に、
違う色のサファイアになってしまうかもしれません。

よくビーズ屋さんなどで売られている、
お値段の低めのシトリンなども、
その傾向が見られたので注意してくださいね。
(色が均一でなく、無色と黄色にわかれ、
まばらでした)
そこが良いと思われた場合には、
もちろん全然構わないのですが、
後からがっかりしてしまった、
なんていうことにならないように。

タイ産、オーストラリア産のサファイアは、
色がとても濃く、黒ずんで見えてしまうとか。
憲章先生は、その著書で、
「お奨めできない」と言われていますが、
これらで購入する場合は、
なるべく綺麗な青を選びましょう。

せっかくの色石なのですから、
美しい青色でなくては。

でも、これは全て好みの問題なので、
財産的価値など関係なしに、
私は薄いのが好き、紺色のが良い、
ということでも良いと思います。

身につけるのは貴方なのですから。
気に入った石を身につける、
それが一番素敵なことだと思います。

そんな時には、
この色味でこのお値段は妥当かどうか?
をよくご考慮くださいね。
よくある外国で
ふっかけられてしまったりしないように。。。

         * * *

  サ  ファイアの色は青だけじゃない
ってご存知ですか?


無色ホワイト・サファイアや、
ピンク色ピンク・サファイアは、
近年では有名ですね。

そう、サファイアには、さまざまな色があります。

ピンク、ピンクを帯びたオレンジ、
黄、緑、紫、褐色、無色。

赤色以外のコランダムはすべて、
前に色名などをつけ、
何々サファイアと呼ばれます。
赤色は「ルビー」です。
これは7月の誕生石でお話しましたね)

いろいろ探して見てください。
貴方のお気に入りの一色が、見付かるかもしれません。

ブルー以外で最高級とされているのは、
ピンクとオレンジの中間のような色味の
パパラチア・サファイア」。

こちらも、とても希少価値があり、高価です。
世界で唯一スリランカでしか産出しません。
そこでも、めったに現れないとか。

憧れの、幻のサファイア
パパラチアとは、
サンスクリット語で『蓮の花』を意味するとか。
バリ島辺りで見かける、
エキゾチックな・ピンクオレンジの
蓮の花色からでしょうか。

ピンク色とオレンジ色の、
薄いオーガンジーの布を重ねたような、
そんな不思議な色です。

いつか手にとる
ことができたら、とても素敵ですね。

 
 
〜サファイアをつかったジュエリー〜

◇K18サファイア<Callicarpa〜美しい実>ピアス

美しい色合い石たち愛らしい小さな実にみたてて、贅沢にあしらったシリーズ
サファイア綺麗ブルーが映えます。。。!

サファイアはなんと鑑定書のお墨付き!!)

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◆ お手入れ方法
 特別に注意する事はないものの、サファイアもデリケートな宝石のひとつです。

化粧品ほこりなど、宝石の天敵は、
サファイアも苦手です。
身に着けたあとは、必ず、柔らかい布かセーム皮などで優しく拭いてください。

汗をかいた後には、軽く水洗いし汚れを落として、よく乾燥させてから保管ください。

モース硬度9(ダイヤモンド10の次)に位置するサファイアですが、傷つかないという意味ではありません

モース硬度8以下の石(つまりダイヤモン以外の宝石)には傷をつけることが出来ても、硬い金属には歯が立ちません

モース硬度が10のダイヤモンドの、
9/10の硬さという訳ではないのです。
実際にはダイヤモンドの1/3の硬さに過ぎません。

他の宝石と同様、取り扱いには充分気をつけてください。

 


◆ 保管方法
1. 他のジュエリー同様、 硬いものとの接触を避けて、保管はひとつひとつ布でくるむか、小分けにして保管するのが望ましい方法です。

よく見かける『チャック付きビニールパック』などに小分けしてもいいでしょう(イヤリング、ピアスも片方ずつ入れる)。

2. 直射日光や強い照明の当たる場所での保管はいけません。

3. お手入れの後は、よく乾燥(自然乾燥)させてから保管ください。

 
           

誕生石 - Birth Stone -
1月 ガーネット
2月 アメシスト
3月 アクワマリン
4月 ダイヤモンド
5月 エメラルド
翡翠
6月 真珠
ムーンストーン
7月 ルビー
8月 ペリドット
9月 サファイヤ
10月 オパール
11月 トパーズ
12月 トルコ石





〜以上、メールマガジンの発行とともに、随時更新致します〜

時節や新作の石たち、
デザイナーのそのときのお気に入りの石などを、 、
今後もご紹介させていただきたいと思っております。

※ 取り上げて欲しい宝石のリクエストなどございましたら、
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