○●○ ラピスラズリ***もうひとつの9月と12月の誕生石  ○●○
 
 
(メールマガジン『月のしずく』2009.08.29号 掲載)
 
   
 


◆   深い深い 海の 藍(あお)
果てしない 宇宙(そら) を思わせる、
藍色ラピスラズリ

時折り きらめく 金色には、
輝く星星を。

白い縞模様には、
宇宙に浮かぶ 雲の波を 垣間見る。

紺碧夜空ひとしずく
深海のように深い瑠璃色の吐息。

綺麗なウルトラマリン群青色)のラピスラズリ

フランスやオーストラリアでは、9月の、
日本では、12月の「もうひとつの誕生石」。

         * * *

  和  名は、「瑠璃(るり)」。

サンスクリット語の「バイドゥーリア」、「ベールーリヤ」
といった青色の宝石名が、「吠瑠璃(べいるり)」と音写され、略して「瑠璃(るり)」となったようです。

仏典に出現し、中国から、日本へやってきました。

古来より、仏教の7つの宝、
七宝
(金・銀・瑠璃・玻璃・しゃこ・珊瑚・瑪瑙)
のひとつといわれています。

むろん、それは日本のみでなく、
東洋世界でも「東洋七宝」とされています。

 
 
和 名>
瑠璃(るり)、青金石※
硬 度>
5〜5.5(モース硬度)
屈折率>
屈折率>1.50
比 重>
2.80
主産地>

アフガニスタン、アルゼンチン、ロシア、チリ、アメリカ、カナダ、ミャンマーなど

色 >
青、群青色、藍色、
時に白斑色、金斑色。
宝石ことば>
真実、高貴、永遠の誓い、雄弁、協調、成功
 
   
 
 


         * * *

  そ  の語源は、

ラテン語で「」を意味する「lapis」と、

古代ペルシャ語で「」を意味する「Ladjevard」が
アラビア語の「Lazward(ラズワルド:天・空・青などの意でアジュールの語源)」、
さらにラテン語の「Lazurium」となり、
これが変化して、

現在の名前「Lapis Lazuli」になったとされています。

けれど、この名前に至るまで、
数多の遍歴がありました。

もっとも多く記されて、
また、現代でも誤解を招きそうな名前のひとつは、
サファイアでしょうか?

アリストテレスの弟子であり、
植物学者の祖であるギリシアのテオフラステスは、
サファイアには黄金の斑点がある」 と書いています。

ローマの『博物誌』を著した、大プリニウスは、
「サッピールス(サファイアのラテン名)は空色で、希に紫色であり、中には黄金の点々が入っていて、それが輝く」
とその著書に書かれてます。

けれど・・・、サファイアには、
黄金の斑点など、どこにも入っておりません。

彼らが、サファイアと呼び、記していたものは、
どこからどう見ても、、
ラピスラズリのことではないでしょうか?

古代において、
サファイアとは「青い石全般」を指しておりました。
それゆえ、こうした混乱が起こったのでしょう。

サファイアの名称は随所に見られますが、
実は、ラピスラズリであった場合も多いようです。

もちろん、すべての場合がそうではありませんが。

今となっては、その文面に思いを馳せ、
様々な文献から解釈するより、
それと確かめる方法はありませんが、

いずれにしろ、
ラピスラズリが「古代から愛されてきた宝石の1つ」であったことをあらわしているようですね。

         * * *

  現  代とは異なり、
宝石の価値に、「輝き」よりも「色」が重視されていた時代、
中世以前、ラピスラズリは、
現在のダイヤモンドと同等以上の価値を持っておりました。

古代アッシリアでは、
ラピスラズリは空の完璧な美しさを持つ」
と称えれました。

古代バビロニアの文書や、
エジプトの「死者の書」にも、
ラピスラズリについて記されています。

古代エジプトでは、天空神オシリスの宝石とされ、
この石に、「スカラベ」や「ホルスの眼」を刻み、
悪霊を除く強力な護符として用いられました。

その神秘的な美しさに魅せられ、
宙を映したかのような、この石、ラピスラズリに、
人々は神の力を感じ取りました。

研磨技術の未熟な時代、
産出されたそのままで美しい、

ラピスラズリの、色鮮やかな群青色、
アトランダムに散りばめられた黄金色の斑点は、
人々を魅了し、珍重され、
彼らは、この石に、
果てしない宇宙(そら)を思い描いたことでしょう。

         * * *

数種類の鉱物が混ざり合い、生み出された、
ラピスラズリは、
ラズライト(Lazurite;青金石)、ソーダライト、アウイン、ノゼアン、方解石、黄鉄鉱などの鉱物から形成される、 青色の岩石です。 

日本では、金色の黄鉄鉱を含む青い石、
青金石※(せいきんせき)とも呼ばれていますが、
実際には、青金石そのものではなく、

青金石を主成分とし、
それに似た化学組成を持つ、ソーダライト、アウイン、ノゼアン、
さらに母岩の方解石や、
不純物である黄鉄鉱が混ざった、美しい岩石なのです。


和名で青金石と命名された所以でもある、
紺青の地に金色を散りばめる黄鉄鉱は、
かえって価値を高める存在として高く評価されています。

白い方解石の方は、一般に、
宝飾用途には邪魔者とされることが多いのですが、
わたしは、宙に浮かぶ白い雲の筋のようで、
なかなかこちらも魅力的だと思うのです。

         * * *

注意を要することとして、
宝石の本では、しばしば、
青金石(lazurite)」と「天藍石(lazulite)」とが、
混同されて記載されていることです。

石灰岩の変成鉱床に生成する青金石と、
ペグマタイトの変成石英脈中に産する天藍石とでは、
産状も化学組成も違えば、その特性も異なります。

が、しかし、英語名と綴りまでがとてもよく似ており、
混乱されても不思議はないのかもしれません。

色合いも青金石の紺青と、
天藍石の藍色とは良く似ていて紛らわしいのです。

その上、どちらも装飾用に用いられるため、
しばしば混同されているのが現状のようです。

代表的な宝石学者や専門家すらも、
うっかりミスからか誤った記載をされているのですから・・・、
混乱を正すのは、なかなか難しいのかもしれませんね。


         * * *

  人  類が手にした最も古い宝石の一つと考えられる、
ラピスラズリですが、

最古のものは、紀元前5000年、
シュメール王国の都市、エリドゥの寺院の隣の墓地から、
発掘された(1990年)、ラピスラズリのビーズが、
最も古い時代のものとされているそうです。

古代オリエントの各地や、
古代メソポタミアのシュメール第1王朝の都市ウルの出土品、
古代バビロニア王国時代、
エジプト第18王朝時代の出土品等などにも、
数多くのラピスラズリの装飾品や、
工芸品などが発見されています。

これら古代のラピスラズリは、すべて、
アフガニスタンの高い山の中、
ヒンドゥークシュ山の標高2700〜3400mの地にある、
鉱山で採掘されたものといわれています。

辺境の地から、道なき道や砂漠を越えて、
メソポタミア、エジプト、そして、遥かローマへ、
数千kmの道程を運ばれたということです。

それ程までにも、古来の人々は、
ラピスラズリに魅せられ、
その色、その神秘を愛してきたのでしょう。

日本の奈良の正倉院の宝物にも、
ラピスラズリの装飾品が保管されています。

中でも有名な、当時の最高級の装飾品の一種、
紺玉帯(こんぎょくのおび)というベルトも、
アフガニスタン原産のラピスラズリを加工して、
鋲留めされたものだそうです。

アフガニスタンから、
オリエントに運ばれた原石が加工され、
再びシルクロードを通って運ばれる・・・、石の旅。

なんだか気の遠くなりそうな、
遠大な道程、ひとつのロマンですね。

         * * *

5  世紀以降、
ラピスラズリは、ヨーロッパでは、
ウルトラマリン(ultramarinum:海の彼方)とも
呼ばれていました。

おそらく、「海の彼方、遠い異国からもたらされる貴重な宝石」という意味合いからきたのでしょう。

洋の東西を問わず、
宝飾品や工芸品としてだけではなく、

「最も素晴らしい、青の顔料」 とされ、
絵画の顔料としても珍重されてきた、
ラピスラズリ

西洋、東洋の、有名無名の画家たちが、
こぞって、このラピスラズリの青を求め、
青を愛し、絵に描き残しました。

TVで見た、シルクロードのキジル千仏洞の仏画の、
ラピスラズリが、未だ印象に残っています。

さぞかし、高価な画材であった、
ラピスラズリ群青色ウルトラマリンの美しさ。

それは、今もなお美しく、決して色あせない、
天上至高ブルーなのです。

         * * *

  産  地は
アフガニスタン、アルゼンチン、ロシア、チリ、アメリカ、カナダ、ミャンマーなど。

アフガニスタンから産出されるものは、
深い青と黄鉄鋼の斑点がくっきりと現れており、
高品質なラピスラズリの産地として、現代でも有名です。

アルゼンチンでも、品質の高いものが産出されています。

ロシア産やチリ産のラピスラズリは、
青みが淡いものが多く、

アメリカ産のものは、色が濃く暗い青で、

カナダ産は、明るい青色が多いようです。

数種類の鉱物が混ざり合い、生み出された、
複雑な構成を持つ、
ラピスラズリならではのさまざまなバリエーションですね。

         * * *

  実  は、ラピスラズリには、
多くのイミテーション偽石もあるのです。

その代表的なものとして、
フランスのギルソン社がつくった、イミテーションがあります。
これは、粉末原料の焼結法で合成ラピスを製造する、
というもので、成分がほとんど変わらないため、
素人はおろか、
プロでも、一見判別がつかないほどなのだとか。

ただし、天然ラピスより硬度が低いのが難点なので、
天然ラピスより耐久性に劣るようです。

その他の、偽ラピスラズリとしては、
ハウライトというまったく別の石を青く染めた、
ハウライト・ラピス」や、
ジャスパーに、銅を練り込み瑠璃色の染料で着色したもの、
その他、さまざまな鉱物にを着色したものなどが出回っているようです。

         * * *

  古  今東西、
ラピスラズリは、聖なる石として崇められ、
珍重されてきました。

古代エジプトでは、「神が宿る石と」信じられ、
ファラオや司祭など、
高位の者のみが身に着けられる、特別な石でもありました。

また、古代ローマ時代には、
「美の女神アフロディテの石」とされ、
恋人たちの愛や夢を守るといわれていました。

数多の薬効がささやかれ、
数々の、護符や装飾品として仕立てられた、
ラピスラズリは、

心の曇りや邪念、嫉妬、不安を取り除き、
幸運成功をもたらすと言われています。

持ち主の内なるパワーを刺激して、
知恵洞察力決断力を高めてくれる、
といわれています。

また、視力回復心臓の安定甲状腺の正常化をもたらすパワーがあるとも伝えられてきました。

持ち主の吉運を大吉運に、
凶運を吉運に変える、
強いパワーを持つ石だといわれています。

持ち主と石の波長が合うと、
石の色は濃くなり、
災難が降りかかると灰色になるのだとか。

突然に紛失してしまったら、
「石が持ち主の身代わりとなり、
持ち主の災厄を持ち去ったのだ」といわれます。

不幸を幸福に変え、
不運を幸運に変えてしまうという、

ラピスラズリの不思議なパワーは、
水晶クリスタル)と 同様に、
霊的波動の非常に強い石とされており、

宝石としてのみならず、パワー・ストーンとしても、
今なお、多くの人に愛されています。

 
 
ラピスラズリをつかったジュエリー

◇K18ラピスラズリ<月星>ピアス
耳元で ゆらゆら揺れる
アシンメトリー(左右非対称)なデザインが新鮮な
月と星の 追いかけっこ ♪

◇SVラピスラズリ<VIKING〜ヴァイキング>
Men'sチョーカー

宙の海を渡る VIKINGをイメージして

◇SVラピスラズリ<メリーゴーランド>シリーズ
ブレスレット&Men'sブレスレット&アンクレット

深海の青のように深い瑠璃色の吐息
綺麗ウルトラマリン(群青色)ラピスラズリ。。。(→続き
メリーゴーランドをイメージした、
愛らしく楽しいデザインです♪

◇SVラピスラズリ<Indian〜インディアン>ピアス

それぞれに趣のことなった
暗め群青色を2石をつかった、個性的&楽しいデザイン♪

Men's(メンズ)ピアスとしても人気!!

などなど。。。(→ほか、サイト内検索はこちらから





 

 
 
 
 
◆ お手入れ方法(使用上の注意)

 傷つきやすく薬品にも弱いデリケートな宝石です。取り扱いには十分注意しましょう。

衝撃薬品除光液塩素系洗剤など含む)・温泉などは、
大の苦手です!絶対に、避けてください!!!

汗・脂肪化粧品類・ヘアスプレー・紫外線なども、できるだけ避けてください

衝撃にも弱いので、超音波洗浄機などの使用も避けてください

身に着けたあとは、必ず、柔らかい布かセーム皮などで優しく拭いてください。

汗をかいた後には、軽く水洗いし汚れを落として、よく乾燥させてから保管ください。




◆ 保管方法

1. 硬いものとの接触を避けて、保管はひとつひとつ布でくるむか、小分けにして保管するのが望ましい方法です。

よく見かける『チャック付きビニールパック』などに小分けしてもいいでしょう(イヤリング、ピアスも片方ずつ入れる)。

2. 直射日光や強い照明の当たる場所での保管はいけません。

3. お手入れの後は、よく乾燥(自然乾燥)させてから保管ください。

 

 
         

誕生石 - Birth Stone -
1月 ガーネット
2月 アメシスト
3月 アクワマリン
4月 ダイヤモンド
5月 エメラルド
翡翠
6月 真珠
ムーンストーン
7月 ルビー
8月 ペリドット
9月 サファイヤ
10月 オパール
11月 トパーズ
12月 トルコ石





〜以上、メールマガジンの発行とともに、随時更新致します〜

時節や新作の石たち、
デザイナーのそのときのお気に入りの石などを、 、
今後もご紹介させていただきたいと思っております。

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参考文献;  topページに記載